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~kemnpusの気紛れ日記~ 仕事柄更新・レスが遅れる場合があるけど許してネ


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例のお婆さん

以前に仕事でお世話になっていたお婆さん。
僕のことを慕ってくださって外出のときは直接電話をくれて指名してくれてました。

病院への通院はもちろんのこと、
気晴らしに近所の公園巡りや博物館にご一緒したこともあります。
そんなときはいつも僕が車椅子を押して周ります。

それがお身体の具合が悪くなるとともに定期的な外出もしなくなって、
当然のようにタクシーの用命もなくなってしまった。
恐らくはホーム併設の老人専用マンションに独りでこもりっぱなしなはずです。

基本的にお客さんと運転手の関係であり、たまたま気に入っていただいただけのこと。
アカの他人の僕が私生活にまで深入りしてお付き合いすることもないと思う。
でも半年以上連絡が途絶えていると「最近どうしてるかな?」なんて気にもなったりもします。



昨日そのお婆さんから携帯に着信履歴が残っていたんです、2回も。
「あ、お元気なんだ!」「急用?どこかに出掛けたいのかな?」
そう思いこちらから折り返しかけ直しました。

お婆さんは2コールで電話口に出ました。
しかし用件は思っていたものとは違いました。
逆に用件らしき用件などはなく、ただ僕が「どうしていらっしゃるかと思って」ということでした。

持病の膠原病も良くなる気配もなく辛くなる一方だという。
以前にも増して声にハリがないみたい。
医者からは紫外線に当たってはいけないと言われ、一切外出はできないそうだ。

一通りお互いの近況を話し終えると
「あぁ、でもよかった、お元気そうに働いているkemさんの声が聞けて嬉しいわ」
と言ってお婆さんは電話を切りました。
そんな他愛も無い短いやりとりでした。

辛いんだと思う。
なんとか明るくふるまう中に寂しさがひしひしと伝わってきます。

「頑張って元気になってください。また僕がどこかに連れてってあげますよ。」
ただの運転手はそんなことしか言えませんでした。
例のお婆さん_c0128722_19283390.jpg

by kemnpus-ken | 2008-10-13 19:33 | ひとりごと(エッセイ)