~kemnpusの気紛れ日記~ 仕事柄更新・レスが遅れる場合があるけど許してネ


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あなたは今幸せですか?

数乗務前、一人の女性を乗せました。
彼女が行き先を告げた時「あれ?」とバックミラーを覗いた。
ベッドタウンであるローカル駅からは通常あり得ない遠くの街だ。
彼女は数年前までは時々乗せたことがある女性です。
毛糸の帽子を目の辺りまで深くかぶっていたけど間違いない。
c0128722_19213047.jpg

売上げ的には助かるが、正直言って彼女にはあまりいい印象がない。

初めて乗せた時の話です。
彼女はかなり泥酔していて、乗り込むなり家の近くの大きな交差点を告げると深い眠りに入ってしまった。
遠くの街とはいえ偶然その交差点を知っていたのでそのまま走り続けたけど、その交差点で声を掛けてもなかなか目を覚まさなくて大変苦労した。
今にも嘔吐しそうだったのを覚えている。

それからも何度か乗せた。
大抵お酒が入っていて、行き先を告げるのもやや上から物を言う感じ。
見た目からして少しきつい印象を与えるタイプです。
そして大きな溜息こそ何度も聞こえたが基本的に会話は殆ど無く、目的地までは沈黙がただ続く。
僕は彼女のその溜息がいつも気になった。



気がくとこの数年その女性を見かけなくなった。
同じ駅につける仲間に訊いても「さあ、そういえばいないね」

忘れかけてたその女性が今バックシートに座っている。
c0128722_19361125.jpg


走り出して間もなく彼女は喋り出した。
「あぁ、疲れた。今日はもう限界。タクシー乗っちゃった」
最初携帯電話で誰かと話してるのかと思ったが、相手は僕だった。
「節約しなきゃいけないから頑張ってもう2年ぐらいここから自宅まで乗ってないのよ」
こうやって話しかけられること自体が意外だが、気のせいか声のトーンも今までの印象とは違ってソフトに感じた。
「運転手さんには申し訳ないんだけど、ちょっと失礼して…」
プシュ!と缶を開ける音がした。
お酒はやめた訳ではないみたい。


道中いろんな話をした。
最近仕事が軌道に乗って死ぬほど忙しいのだそうだ。
「差し障りなければなんですけど、どのようなお仕事に就かれてるんですか?」
彼女は少し間を置いて
「そうねぇ、ふふふ、それは想像にお任せするわ」
実は知っているのさ。
車内はある業種で使う薬品の独特の匂いがほのかに漂っていました。
いつもの彼女の香りです。

彼女は突然言った。

「運転手さんは今幸せですか?」

最近そんなこと考えたこともなかったから、答えがすぐ出てこなかった。
「そういうお客さんはどうなんですか?」
そう尋ねて自分の答えを探す時間を作った。
彼女はきっぱりとこう言って2本目の缶を開けました。

「私は幸せ。やりたいことを今やれてるんだもん、必死だけどね」

そっか。
それを聞いてますます答えが見えなくなった気がした。

溜息は最初に「疲れた」と言ったときだけだった。
一度も道を尋ねることなくタクシーは彼女のマンションに向かって走り続けました。
c0128722_200261.jpg

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by kemnpus-ken | 2009-12-06 20:08 | ひとりごと(エッセイ)